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わかってほしい。
でも、うまく伝えられない。
ただ誰かと、素直につながりたい——。
心がそんな風に揺れるとき、
それは人間関係に宿る“3つの願い”が、まだ満たされていないサインかもしれません。
FIRO理論から見る「孤独」——人間関係に潜む3つの欲求
アメリカの心理学者ウィリアム・シュッツは、 人間関係における3つの基本的な欲求を次のように分類しました。
孤独を感じるとき、心のどこかで「誰かとつながりたい」という思いがあるはずです。
でも、それは漠然とした“つながり”ではなく、実は3つの異なるかたちをしている——
そんな視点で、自分の心を見つめてみましょう。
① 所属(Inclusion)
「私は、誰かの輪の中にいるだろうか?」
この欲求は、“つながっている感覚”そのものを求めるものです。 たとえば、SNSで誰かの楽しそうな投稿を見て「私は何もしていない」と落ち込むとき。
これは、“物理的には孤独ではないのに心が孤独”という状態です。
所属の欲求が満たされないと、 自分が「ここにいていい」と感じられなくなってしまいます。
② 支配(Control)
「私は、ちゃんと尊重されているだろうか?」
支配というと誤解されがちですが、 ここでは“自分の意見がきちんと届いているか”という欲求です。
たとえば、職場での発言が流される、 家庭での自分の存在が軽んじられているように感じる——
そんな時、人は「自分が無力だ」と感じ、心の中に孤独がしみてきます。
この欲求が満たされないと、 人は「いてもいなくても変わらない」と思いがちになるのです。
③ 愛情(Affection)
「私は、ちゃんと大切にされているだろうか?」
最も深いレベルでのつながりの欲求。 何でもないことを安心して話せる相手、沈黙が苦にならない関係。
これがないと、たとえ友達が多くても“本当の自分”はずっと孤独なままです。
誰かに会いたいと思うとき、
それは「誰かが必要」なのではなく、
「自分が誰かに届いてほしい」と感じているだけなのかもしれません。