第2部:人とつながるってどういうこと?——FIRO理論で読み解く関係性

※この記事は全3回の連載記事です。下記リンクから各部をご覧いただけます。

🔹 第1部:孤独はどこから来るのか?

🔹 第2部:人とつながるってどういうこと?

🔹 第3部:孤独とともに生きる

わかってほしい。
でも、うまく伝えられない。
ただ誰かと、素直につながりたい——。
心がそんな風に揺れるとき、
それは人間関係に宿る“3つの願い”が、まだ満たされていないサインかもしれません。

 


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FIRO理論から見る「孤独」——人間関係に潜む3つの欲求

アメリカの心理学者ウィリアム・シュッツは、 人間関係における3つの基本的な欲求を次のように分類しました。

孤独を感じるとき、心のどこかで「誰かとつながりたい」という思いがあるはずです。
でも、それは漠然とした“つながり”ではなく、実は3つの異なるかたちをしている——
そんな視点で、自分の心を見つめてみましょう。

① 所属(Inclusion)

「私は、誰かの輪の中にいるだろうか?」

この欲求は、“つながっている感覚”そのものを求めるものです。 たとえば、SNSで誰かの楽しそうな投稿を見て「私は何もしていない」と落ち込むとき。
これは、“物理的には孤独ではないのに心が孤独”という状態です。

所属の欲求が満たされないと、 自分が「ここにいていい」と感じられなくなってしまいます。

② 支配(Control)

「私は、ちゃんと尊重されているだろうか?」

支配というと誤解されがちですが、 ここでは“自分の意見がきちんと届いているか”という欲求です。

たとえば、職場での発言が流される、 家庭での自分の存在が軽んじられているように感じる——
そんな時、人は「自分が無力だ」と感じ、心の中に孤独がしみてきます。

この欲求が満たされないと、 人は「いてもいなくても変わらない」と思いがちになるのです。

③ 愛情(Affection)

「私は、ちゃんと大切にされているだろうか?」

最も深いレベルでのつながりの欲求。 何でもないことを安心して話せる相手、沈黙が苦にならない関係。

これがないと、たとえ友達が多くても“本当の自分”はずっと孤独なままです。


誰かに会いたいと思うとき、
それは「誰かが必要」なのではなく、
「自分が誰かに届いてほしい」と感じているだけなのかもしれません。

 

第3部:孤独とともに生きる——“自分の物語”を抱きしめる