
どこかに見えない“線”がある。
自分で引いたのか、誰かに引かれたのか。
でもその線を、ふと一歩越えるとき、世界が少し、色を変えて動き出す。
日常は、あまりにもよくできた“枠”の中にある。
時間に合わせて行動し、ルールに従い、人の顔色を見ながら動く。
それは悪いことではなく、大人としての成熟かもしれない。
でも、ふと立ち止まってみると、心のどこかにうっすらとした違和感がある。
「本当にこれが、私の選んだ道だったのだろうか?」
誰かに合わせて黙っていた。
波風を立てないように、言葉を飲み込んだ。
それが自然になっていくほどに、自分の声は小さくなっていった。
けれど、あるとき。 勇気を出して、たった一言を口にした。
「私はこう思う」——それだけのことなのに、
景色がすこしだけ違って見えた。
世界は変わったのではない。
私の見方が変わったのだ。
その一歩は、ほんの小さな越境。
けれどその瞬間から、自分の物語がそっと動き出す。
枠の外に出るというのは、派手な行動ではなくていい。
ただ、自分の中にある“こうあるべき”をそっと一つ、横に置いてみること。
運命は、意外とやわらかい。
あなたがそっと踏み出すのを、待っていただけなのかもしれない。
その線の向こうには、きっと“まだ見ぬあなた”が、笑って立っている。