小さな幸せの森

雨は必ずあがる、晴れの日は必ずやってくる

「日記」の記事一覧

窓辺の風鈴が一つ鳴った

開け放たれた窓の向こう、 紫陽花の葉に、雫が撥ねる音がした。 やわらかく、けれど突然に。 その音に少し遅れて、 窓辺の風鈴が一つ、鳴った。 風が吹いたのかどうか、 わからないほどの静けさの中で—— 小さな音が、空気に輪を […]

梅干しの味

気がつくと、まぶたの裏がずっと重たくて、 誰とも話したくないのに、何かに追われているような気がしていた。 深く息を吸えないまま、パソコンの画面と時計ばかりを見つめて、 目の奥がじんわり痛む。 笑顔をつくるのが、ちょっとだ […]

一歩、線を越えるとき——世界が動き出す瞬間

どこかに見えない“線”がある。 自分で引いたのか、誰かに引かれたのか。 でもその線を、ふと一歩越えるとき、世界が少し、色を変えて動き出す。 日常は、あまりにもよくできた“枠”の中にある。 時間に合わせて行動し、ルールに従 […]

遠く離れた誰かの大切な人を思うとき

今日、施設にいる母とテレビ電話をしました。 いつものように、東南アジア系の若い女性がそっと画面をつないでくれます。 ふと、先日ニュースで見たミャンマーの地震のことが頭をよぎり、思わず尋ねました。 「お国はどちらですか? […]

沈丁花、春のはじまりに

いつもの道を歩いていたら、 ふいに胸の奥に届くような、やさしい香りが風に混じっていた。 ああ、今年もこの香りに出会う季節になったんだ—— それだけで、少し肩の力が抜けて、深く息を吸い込みたくなる。 沈丁花。 小さな花なの […]