手が震える苦しみ、本体性震戦の病名判明と、悩みが解消した体験

手が震える悩み

長年、抱えていた手が震える悩みを解消した経験について書いてみようと思います。

結論から言えば、長年の悩みは、「本体性震戦」という病名があり、神経外科の領域で薬によりおさえることができるという事実を知り、解決に至ったものです。

もし同じ悩みを持つ方に役立てば幸いです。

始まり

まずは、発症から悩んだ日々の事を書きたいとおもいます。

発端は古く、小学5年まで遡ります。

当時、クラスから児童会役員候補に推薦され、意に反して全校生徒の前で候補者として演説会に出なければならない、という状況になりました。

演説会は、体育館の舞台の上で行われます。

自分の順番が来た時には、緊張のあまり原稿を持つ手が、遠くから見ても明らかにかるほどガタガタと震え、声も震え、後で仲間たちから、さんざんからかわれてしまいました。

それが始めての経験です。

しかしその時は、私は人より少し気が小さいのかな、くらいに思い、あまり気には止めてはいませんでした。

役員となって以降、毎週体育館の舞台や、朝礼台の上で、朝礼や学校行事の司会経験を積み、すっかり舞台度胸もついて、以後しばらくはすっかり震えは頭から離れていました。

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次第に意識するように

次に起きたのは、小さい頃から習っていたピアノの発表会でした。

中学の頃から、少しづつ震えを意識し始め、ピアノ発表会で緊張から来る震えの為、なかなか思うような演奏が出来なくなってきました。

高校1年の時だったでしょうか。リハーサルで手がガタガタと震え、全く演奏にならないほどでした。

その時は本番だけは、不思議なことに、何故か震えがこなかったのですが。

しかし、以降は手が震える事に対する恐怖感に襲われるようになり、緊張すると制御できないほど激しい震えがきてしまいます。

震える恐怖から、次第に人前に立てなくなってきました。

緊張ののプロセスが普通とは違うのです。

普通は緊張する➡震える、なのでしょうが私の場合、震えるかもしれない➡緊張、なのです。

常に根元にあるのは震えるかもしれないという恐怖心なのです。

震えの程度ですが、目立たない震えではなく、手に持った味噌汁のお碗がひっくり返るくらいの激しい震えなのです。

合宿の時など、味噌汁を隣の人に回す時が苦痛でした。緊張して味噌汁が受け取れないのです。

消えたいくらいに恥ずかしかったで。

友人からは何でそんなに震えるの?と不思議そうに言われるのですが、私には何でみんな震えないのだろうと、緊張しても震えない他人が羨ましく思いました。

思い余って、近くの外科に行ってみました。

「書痙」と診断され、精神的なもので何等治療はなく、気にしないことだと言われて、ただ自分の気の弱さを呪いました。

意識しないようにつとめるほど、かえって強く意識するようになり、震えは大きくなるばかりです。

そのうち、ペンを持ったり印鑑を押したり、お店で釣銭をもらったりする際にまで、意識するようになり、震えは生活の中に入り込んできました。

なぜつり銭をもらうときにまで恥ずかしいこと、思わなければならないのか、誰にも相談できずに悶々としていました。

最も辛かったのは、やはり大好きな音楽で思うように演奏ができない事でした。

先ほど、書いたとおり人前でのピアノ演奏が苦手になりました。

高校の音楽の授業でリコーダーの演奏も、ギターの演奏も震えを止められませんでした。ギターなど、練習では相当弾けるにも関わらず、人前では1つの音すら出すことが出来ないのです。

楽器が弾けない

大学からはオーケストラでビオラを始めました。

大勢の中で弾くことが出来るから大丈夫かと思いましたが、甘かった。

弦楽器は、繊細な体のコントロールを要求され、完全な脱力を求められます。
しかしそれができない。

弓の上下運動で、アップ弓で半分から上にいくと震えが止まらなくなります。

一度震えると、震えの恐怖が震えを呼ぶのです。

本番演奏は目も当てられません。ここはビオラパートのソロというところで、震えは止まらなくなります。

私は練習では、かなり弾ける部類にいました。しかし本番は全く戦力にならないのですからこんな情けない事はありません。

演奏会場から、幻聴なのでしょうが、ひそひそ声で、”震えているよ”というお客さんの声が聞こえてきました。

練習量で克服しようと自分なりに相当練習しましたが、上手く弾けるのは一人で練習する時のみ。

本番ステージの後、友人たちが感動の涙を流している中、私もそれなりに感動はあったものの、一人成果を発揮できず、影で悔し涙を流していました。

あまりに悔しくて何度も楽器ケースを永遠に閉じようと思ったことも実はありました、

試行錯誤

一方でどうにか治せないものかと、色々試しました。やはり音楽は捨てられませんでした。

一時成功したことがあります。

震えの原因を筋力のせいと考え、脇の下の筋肉を鍛えました。

そこで毎日腕立て伏せを行い、筋肉がつくと震えがある程度止まったのです。

演奏会も思いきり弾くことが出来たのです。感動でした。

これでようやく克服できたと。

しかし大きな喜びも束の間、又震えてしまったのです。

治ったと思ったのは、思い込みだったとわかり、あまりに悲しく今度こそ本気で楽器の封印を考えました。

原因の判明と震えからの解放

音楽の経験を積み、素晴らしさを知る一方で、練習の成果が本番に全く生かせない苦しみに堪らない苛立ちがありました。

私はこんな状態ですから、弦楽四重奏などアンサンブルなどに声はかからないし、努力も全て空回りです。

その後、卒業後も音楽をやめられず、社会人オケで活動を始めました。

しかし、もうそろそろ限界かなと思っていた頃、後輩がトップ奏者をつとめることになり、トップサイド(一番前、トップ奏者の隣で弾くきます)を頼まれました。

信頼してくれたからこそ、不安なトップを支えるためサイド指命でした。

嬉しかったし、期待に応えようと努力しました。

最初は上手くいっていました。

でもある日の練習で、とある箇所にくると震えが生じてしまった。

理由などないのです。以降はそこに来ると条件反射的に震えてしまうのです。

彼女の為に何とかしなければならないと焦りました。

ふとネットで同じ悩みをもつ人がいないかと調べていたら、この震えに対する病名があるではないですか。「本体性震戦」の名前をその時始めて見つけたのです。

震えのみが症状となっている病気で、40歳以上では16人に一人はいるといいます。

すぐにこの病気を治療してくれる、評判の高い神経外科の先生を調べて病院に駆け込みました。

先生から、必ず震えをおさえる方法がありますからとの力強い言葉。

早速薬を処方してもらいました。

アロチノロール塩酸塩錠5mg 朝夕2錠
リポトール錠0.5mg 就寝前に1日3錠
エリスパン錠0.25mg 不安時のみ

この薬によって、ほぼ改善する事が出来ました。

特に演奏会前には2時間前にリポトール錠を1錠飲みます。

これで演奏上の震えから解放されました。

こんな喜びはありません。

ちゃんと練習の成果が出せるのですから。

その後は、演奏する事に自身もつき、人前でソロ演奏すら可能になりました。

練習したら練習した分の成果を発揮できるようになったのです。

今、音楽活動の巾も広がり、これだけ音楽を楽しめるのも、お医者さんに出会った結果。

長い呪縛から解放されて、思う存分音楽を楽しんでいます。

又、震える恐怖から解放され、生活の様々なしがらみからも解放されました。

もし、同じような悩みを持っていらっしゃる方は、神経外科で診察してもらう事をお勧めします。

今は本当に充実しています。

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