クリスマスの起源。キリスト教以前のミトラ教やサトゥルヌス祭が転化した

クリスマスの起源 ミトラ教

うちの近所に、毎年家全体をまるでクリスマスツリーのように電飾で美しく飾る素敵なお宅があります。

日が落ちれば、イルミネーションが、けばけばしくもなく、色のバランスもよく美しく落ち着いた輝きで、近所でも大評判でです。

 

今年も期待通り美しく光輝いています。

クリスマスの起源は具体的にどこにあるのでしょうか。

古代ローマ時代に栄えた、太陽神を主神とするミトラ教がその起源だといわれています。

12月25日はミトラ生誕の日とされているのです。

ミトラ教の起源

ミトラ教の歴史は実に古く、ローマの時代からもっと古く、ミトラス教からきているのではないかと言われています。

その時代は、遥かインドやイランの古代アーリア人の時代にまで遡るのです。

その神ミスラ(ミトラ)は、古代のあまりに有名な書物「リグ・ベーダ」に記述されているのです。

「リグ・ベーダ」は神から伝えられた言葉を、神聖なものとの理由から、長く口伝とし伝えられてきたとされます。

紀元前12世紀頃になって現在の形にまとめられたものです。

紀元前12世紀以前、気の遠くなるような超古代のお話なのですね。

インドって、何となく地理的にアジアの民族のように思われがちですが、その言葉はインドヨーロッパ語族に分類され、祖先は古代ヨーロッパと繋がっているのです。

何と奥深い源泉から流れ出ているのか。

神秘的な思いに包まれます。

遥かな時間のなかで、かつて生きていた名もない人々の思いが蓄積して、姿形を変えながらも、続いているのですね。

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もうひとつの起源サトゥルヌス祭

クリスマスの起源といわれるものに、もうひとつローマのサトゥルヌス祭があります。

ローマの時代の主要なお祭りで、12月17日から数日間行われていました。

もともと第二次ポエニ戦争で、ローマがカルタゴに敗れ、市民の士気を高めるために開かれたのがきっかけだったとか。

はじめは一日だけのお祭りでしたが、あまりに好評で23日まで開催されるようになりました。

この日は、とにかくばか騒ぎをするのです。特徴的なのは、奴隷と平民がこの日は立場を入れ替えるのです。

まさに無礼講のお祭りで、おそらく社会の様々な不条理の捌け口の役割も果たしていたことでしょう。

お祭りの日、人々は快楽と歓喜に浸ります。

最後の数日は人形の祭と呼ばれます。人形や指輪といった小さなものを贈り物として交換
します。

そして子供は贈り物をもらいます。

家々は緑のものを飾付けて祝宴をはるのです。

あまりのどんちゃん騒ぎが、狂騒が続き、アウグストゥスをはじめとする皇帝たちは期間を短縮しようと試みましたが、その後ローマの時代が終わっても、愚人祭として残ってゆくのです。

サトゥルヌスとは

ところで、サトゥルヌスとはギリシャ神話の神で、サターンに通じます。

土曜日のサタデーとしても今に名前の片鱗を残しています。

 

サトゥルヌスには有名な絵があります。

一度見たらあまりの強烈さ、残忍さで頭から離れることはなく、夜うなされるかもしれません。

ゴヤの「我が子を食うサトゥルヌス」。

狂気の表情で我が子を食らう姿は、ちょっとトラウマになりそうなくらいにすさまじく、怖い絵です。

サトゥルヌスとは、ギリシャ神話の神で、父と母から、息子に王位を奪われると予言されました。

妹レアと結婚した彼は、その予言が当たらぬよう、生まれてくる息子達を次々とむさぼり食ったのです。

なんとも凄い話ですよね。

ここでいよいよゼウスが登場します。

母親レアは、生まれた息子ゼウスを助ける為、石を産着でくるみ、サトゥルヌスに食べさせました。

難を逃れ、その後、成人したゼウスは、サトゥルヌスに薬を飲ませて、子供達を吐き出させ、サトゥルヌスは鎖に繋がれ予言は現実のものとなったのです。

時を表すクロノス

サトゥルヌスはクロノスとも呼ばれます。

ローマにおいて、クロノスは、かつて天空をのちに地上を支配した神でした。

地上を支配し、無知だった民を統治し、世に幸せをもたらしたのです。

お祭りは、その幸福な治世を記念したものであったのです。

クロノスは時を支配する神でもあります。

時そのものとも見なされます。

子供をむさぼり食うことは、時そのものを滅ぼす行為、ゼウスに鎖でつながれるのは、天体の時の運行に従わせることを象徴しています。

クリスマスの源泉には、どうやら時という重要なキーワードがあるようですね。

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