「ユニバーサル広告社」が面白い
ユニバーサル広告社が非常に面白いです。
脚本は「ひよっこ」の岡田惠和さん。
役者さんも、沢村一樹さんや、和久井映見さん、三宅裕司さん、やついいちろうさん、など「ひよっこ」とかぶっています。
和久井映見さん演じるキャラなどは、どこかひよっこのキャラとつながっています。
昔、ある作曲家の書かれた本の中に、オペラなどの大作に精魂込めた後は、ちょっとした短い作品が書きたくなる、と言っていましたが、岡田さんも同じような心境でしょうか。
作品は、荻原浩さんの小説をドラマ化したものです。
ストーリー
主演の沢村一樹さんが演じるのは、かつて大手広告会社のバリバリのやり手社員だったのが、唯我独尊的なやり方で色々トラブルをおこし会社も辞め、仕事に明け暮れ妻から離縁され、ボロボロになって、再就職もままなりません。
ようやく拾われたのか、三宅裕司さん演じる、さえない社長の率いるユニバーサル広告社という小さな会社です。そこでかつてのブラック社員は生まれ変わります。
社員は全部で三人、皆一癖ありますが、やり手社員です。
その会社が、会社を引っ越すことになり、選んだ地が何故か田舎の漁師町。
経済も停滞したこの街に、ユニバーサル広告社が越してくる事で、様々なドラマをつくるのです。
依頼者から、依頼を受けて一枚の広告を作り上げる。
様々な言葉からキヤッチコピーを産み出してゆく。
まさにこのプロセスは脚本家が言葉を紡ぎだしていくプロセスに共通するものではないでしょうか。
まさに岡田惠和さんの心を、登場人物たちに代弁させているようにも思えてきます。
既にドラマは中盤、忙しくて周回遅れで録画を見ている状況ですが、沈滞した街に彼らが何をもたらすのか、期待させます。
広告という言葉を選択し表現する世界
ひとつ心に残る台詞がありました。
和久井映見さん演じる喫茶店の娘は、かつて結婚詐欺にあいました。
相手は広告会社の社員を名乗っていたのです。
その男は、そして街を広告の魔法の力によって活気ある街に甦らせると言いました。
和久井さん演じる女性はその言葉を信じました。
そして彼女は、今度街にやって来た広告会社に期待をかけたのです。
そんな彼女に沢村一樹演じる、才能ある広告マンは言いました。
広告は奇跡ではない。何もないところに奇跡を起こすことはできない、あなた方に情熱があって、それを助けるのが広告の仕事だと。
すっかり、希望をなくし、諦めムードの沈滞した街に、彼らは何をもたらすのか。
一癖あるが、やり手の彼らの真剣な姿は、街に少しづつ、エネルギーを注ぎ込み、変化をもたらしつつあります。
変わろうとする兆しがあります。
このドラマ、何か岡田さん自身の独白を聞いているような気がしてなりません。
今後の展開がとても気になります。
岡田作品らしい素晴らしいドラマ、期待しながら見ています。
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